公開日:2026年9月24日
職務要約は、職務経歴書でいちばん最初に読まれる数行です。ここで全体の見当がついた状態で本文に入るか、読み進めながら組み立ててもらうかで、伝わり方が変わります。長く書く欄ではありません。
職務要約は、最初に読まれる3〜5行です
職務経歴書の冒頭に置く、経歴全体の要約です。「職務概要」と書かれることもありますが、同じものです。読む側は、この数行で「どんな人が応募してきたか」の見当をつけ、その見当を持ったまま本文を読みます。
ここが空白だったり、いきなり1社目の話から始まっていたりすると、読み終えるまで全体像がつかめません。採用担当者が何十枚も読む場面では、その差がそのまま結果に出ます。書類全体の型の決め方は職務経歴書の書き方で解説しています。
書き始める前に、材料を3つ並べます
要約が書けないときは、文章力の問題ではなく、材料が手元にないだけです。次の3つを紙に書き出してから取りかかってください。
| 並べるもの | 具体的に |
|---|---|
| 職種と期間 | 職種ごとに、通算で何年何か月か |
| 規模が分かる数字 | 担当社数、金額、人数、件数、店舗数 |
| 募集要項の業務の先頭2つ | 応募先がいちばん人手を必要としている作業 |
3つ目は、自分の経歴ではなく応募先の情報です。ここを見ないまま書くと、自分が書きたいことだけを並べた要約になります。読む側にとって関心のある順に並べ替えるための材料です。
入れるのは4つです
| 要素 | 書き方 |
|---|---|
| 経験の年数と職種 | 「営業事務として通算7年」 |
| どこで働いてきたか | 「食品商社2社で」(社名は本文にあるので不要) |
| 何を担当してきたか | 「受発注から納期調整、請求までを一貫して」 |
| 今できること | 「取引先30社を1人で担当できます」 |
この4つが入っていれば、要約としては足ります。意欲や人柄は、ここには書きません。それは自己PRの欄の役割です。
書くのは、本文を書き終えたあとです
冒頭にあるからといって、最初に書く必要はありません。職務経歴の本文を先に書き、その中から重要な部分を拾って要約するほうが、早く、正確に書けます。
先に要約から書くと、本文と食い違います。本文に書いていないことを要約に書いてしまうのが、いちばんよくある失敗です。読む側は本文で裏付けを探すので、そこに見当たらなければ、要約のほうが疑われます。
手を止めずに一度書き切る
言い回しを整えながら書くと、いつまでも終わりません。まず材料を並べただけの状態で最後まで書き、そのあとで文をつなげてください。短い欄ほど、書き出しで止まりがちです。
長さは200〜300字が目安です
3行から5行、文字数にして200〜300字程度です。これを超えると要約ではなくなり、本文と同じものを2回読ませることになります。
逆に、1行で終わらせるのも足りません。「営業を5年経験しました」だけでは、何を売っていたのか、どの規模だったのかが分からず、本文を読まなければ判断できない状態のままです。
基本の型と、例文
次の順で並べると、迷いません。年数と職種 → どこで → 何を → 今できることの順です。
大学卒業後、食品商社2社で営業事務として通算7年間従事してまいりました。 受発注から納期の調整、請求書の発行までを一貫して担当し、 直近では取引先30社を1人で担当しております。 基幹システムの入れ替えでは、部署内の手順書の作成を任されました。 Excelでの集計と、社内外との調整を強みとしております。
職種を変える場合の型
応募先の職種に近い部分を、先に出してください。
アパレルの販売職として6年間、店舗運営に携わってまいりました。 うち3年間は店長として、売上管理・発注・シフト作成・スタッフ12名の教育を担当し、 月次の数値管理と本部への報告を行っておりました。 これらの業務を通じて数字を扱う仕事に関心を持ち、 現在は日商簿記検定2級の取得に向けて学習を進めております。
経験が短い場合の型
新卒で入社した情報通信会社にて、法人営業として1年6か月従事いたしました。 新規開拓を中心に、1日20件の架電と週5件の訪問を担当し、 在籍中に契約12件を獲得しております。 配属後は先輩の同行から始め、半年で単独訪問を任されました。
文末をそろえます
「〜してまいりました」「〜しております」「〜です」が混ざると、数行のなかで落ち着きがなくなります。どれか一つに統一してください。丁寧すぎる言い回しを重ねる必要はなく、事実が読み取れれば十分です。
一文を長くしない
要約は行数が限られているぶん、一文に情報を詰め込みたくなります。一文が3行にわたると、読み返さないと意味が取れません。「年数と職種」「担当した業務」「今できること」で文を切ってください。
専門用語は言い換えます
社内でしか通じない略語やシステム名は、要約では避けてください。最初に読むのが人事部の担当者で、現場の用語を知らない場合があります。本文では使って構いません。要約は、誰が読んでも意味が通る言葉で書きます。
経歴が長い場合
20年、30年の経歴を全部詰め込むと、要約になりません。応募先の仕事に近いものだけを残してください。
削る順番
古い経験、応募先と関係の薄い職種、短期間で終わった配属の順に落とします。ただし本文からは落としません。要約に載せないだけです。
年数の数え方
「通算何年」は、在籍した期間を足して数えます。1年未満の端数は「7年6か月」と月まで書くか、「約8年」と丸めるかのどちらかにしてください。切り上げて多く見せると、履歴書の年月と合わなくなります。同じ職種を別々の会社で続けた期間は、合算して構いません。
通算で書く
会社が3社にまたがっていても、同じ職種を続けてきたなら「通算15年」とまとめて書けます。会社ごとに区切ると、転職の回数のほうが目に入ります。
管理職として応募する場合
担当していた業務より、預かっていた範囲を先に書きます。部下の人数、管轄した拠点や部署の数、扱っていた予算の規模。この3つが入っていれば、どの層の仕事をしてきたかが伝わります。
プレイングマネージャーだった場合は、その割合まで書いてください。「自身も年間X件を担当しながら、6名のチームを管理」と書けば、応募先が求めているほうに合っているかを判断してもらえます。
転職回数が多い場合
社名を並べないでください。職種と通算年数でまとめると、経歴が一本に見えます。「経理として3社、通算9年」という書き方であれば、回数ではなく積み上げが伝わります。履歴書側での見せ方は転職回数が多い人の履歴書で解説しています。
業種がばらついている場合は、共通してやってきたことを軸にしてください。「業種は異なりますが、いずれも法人向けの提案営業です」と一文入れるだけで、散らばって見えていた経歴がつながります。
在職中で、担当が変わったばかりのとき
直近の担当が短くても、そこを最後に書いてください。読む側は「今どの仕事をしている人か」から見ます。「20XX年より現職にて、〇〇を担当しております」と現在形で締めると、今の状態が伝わります。異動して間もないなら、前の担当までを主に書き、最後の一文で現在の担当を添えれば足ります。
未経験の職種に応募する場合
経験がないことを冒頭に書く必要はありません。これまでの経験のうち、応募先で使える部分を先に書いてください。
そのうえで、末尾に一文だけ、今している準備を添えます。資格の学習、講座の受講、独学で作ったものなど、行動が伴っているものにかぎります。「挑戦したい」という言葉だけでは、根拠になりません。
置き場所と見出し
職務経歴書の1枚目、氏名と日付のすぐ下に置きます。見出しは「職務要約」または「職務概要」とし、罫線や網かけで区切ると、本文との境目がはっきりします。
箇条書きにしてよいか
文章で書くほうが向きます。箇条書きにすると、経歴の前後関係やつながりが落ちます。要約は「一続きの経歴」を見せる欄なので、3行から5行の文章にしてください。担当業務の一覧は、本文の側で箇条書きにします。
職務経歴書が2枚になるとき
要約は1枚目にだけ置きます。2枚目の冒頭に繰り返す必要はありません。そのかわり、2枚目にも氏名とページ番号を入れて、書類が分かれても対応が分かるようにしてください。2種類の書類の役割の違いは履歴書と職務経歴書の違いで解説しています。
自己PRとは役割が違います
| 職務要約 | 自己PR | |
|---|---|---|
| 書くもの | やってきたことの事実 | 強みと、その根拠 |
| 時制 | 過去から現在まで | 現在と、これから |
| 長さ | 200〜300字 | 300〜400字程度 |
| 置く場所 | 冒頭 | 末尾 |
| 数字 | 規模と年数 | 成果と変化 |
同じ内容を2か所に書くと、書類全体が薄く見えます。要約で事実を並べ、自己PRでその中の一つを掘り下げると、役割が分かれます。自己PRの書き方は履歴書の自己PRの書き方で解説しています。
数字は、規模が分かるものを入れます
要約に入れる数字は、成果よりも規模です。担当した社数、扱った金額、部下の人数、対応件数。これらは、任せられる範囲を示します。
成果の数字は本文に置いてください。要約に成果ばかり並べると、自慢の羅列に見えます。1つだけ、いちばん大きいものを入れる程度で足ります。
応募先ごとに書き分けます
本文をすべて書き直す必要はありません。職務要約の数行だけを、応募先に合わせて入れ替えてください。ここが応募先に寄っていれば、同じ本文でも読み方が変わります。
寄せ方は、募集要項に書かれている業務の先頭2つを見て、それに近い経験を要約の前半に持ってくるだけです。
よくある失敗
| 失敗 | どう見えるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 1社目から順に説明している | 要約ではなく本文の縮小版 | 職種と通算年数でまとめる |
| 社名が並んでいる | 転職回数のほうが目に入る | 社名は本文に任せる |
| 意欲や人柄が書いてある | 自己PRと重なる | 事実だけにする |
| 本文にない話が入っている | 裏付けが取れない | 本文から拾って書く |
| 500字を超えている | 読む前に疲れる | 応募先に近いものだけ残す |
| どの応募先にも同じ | 準備していないと分かる | 前半を入れ替える |
書き終えたら、3つの目で読み返します
本文と照らす
要約に書いたことが、すべて本文のどこかに書いてあるかを確かめてください。要約にしかない話があれば、本文に足すか、要約から落とします。
履歴書と照らす
在籍年数が履歴書の職歴欄と合っているかを見ます。「通算7年」と書いたのに、履歴書の年月から計算すると6年2か月だった、という食い違いはよく起きます。月まで数えてください。
募集要項と照らす
募集要項に書かれている業務の言葉が、要約の中に一つも出てこないなら、寄せ方が足りていません。同じ作業を別の言い方で書いているだけのことが多いので、相手の言葉に合わせてください。
Rirekisyで作る場合
Rirekisyでは、履歴書と職務経歴書を同じ画面で切り替えて作成できます。基本情報や学歴・職歴といった共通の項目は引き継がれるので、2枚目で同じ内容を打ち直す必要がありません。
職務経歴書側では編年式と逆編年式を選べます。職務要約には「AIで作成」のボタンがあり、入力済みの経歴をもとに下書きを作れます。白紙のまま手が止まっているときの、最初の一歩として使うものです。
ただし、生成された文章は体裁を整えるための下書きです。経験の中身と数字は、必ず自分のものに直してください。要約は、本文の裏付けがあってはじめて機能します。応募先に合わせて前半を入れ替えるところまでは、こちらの作業です。
よくある質問
Q. 「職務要約」と「職務概要」はどちらが正しいですか
どちらでも構いません。見出しとして分かれば足ります。書類の中で表記をそろえてください。
Q. 職務要約は必ず入れるものですか
様式の指定がなければ入れてください。読む側が全体をつかむまでの時間が短くなります。
Q. 何行くらいが適切ですか
3行から5行、200〜300字程度です。1枚の職務経歴書なら、冒頭の5分の1に収まる長さが目安になります。
Q. 社名は書いたほうがよいですか
本文に書いてあるので不要です。「食品商社2社で」のように、業種と社数で示せば足ります。
Q. 職歴が1社だけです
1社でも書けます。在籍年数、担当した業務、任された範囲の広がりを書いてください。
Q. 数字が出せる仕事ではありません
成果でなくて構いません。担当した人数、対応件数、扱った書類の種類など、規模が分かるもので足ります。
Q. ブランクがあります。要約に書きますか
書く必要はありません。空白期間は履歴書の職歴欄で示します。要約は、できることを書く欄です。
Q. アルバイトの経験しかありません
アルバイトも職務経験です。職種と期間、任されていた範囲を同じように書いてください。
Q. 応募先ごとに書き直すのが大変です
本文はそのままで、要約の前半だけを入れ替えてください。数行の作業で済みます。
Q. 自己PRと同じ内容になってしまいます
要約は事実、自己PRは強みとその根拠です。要約に書いた事実の中から一つ選んで、自己PRで掘り下げてください。