公開日:2026年10月1日

活かせる経験・知識・スキルの欄は、自分の持ち物を並べる場所ではありません。応募先が求めているものと、自分の経験が重なる場所を示す欄です。だから、応募先が変われば並び順も変わります。書き直すのはこの欄と職務要約だけで足ります。
この欄は、突き合わせの場所です
職務経歴書には、経歴を並べる部分と、応募先に向けて示す部分があります。活かせる経験・知識・スキルは、後者です。募集要項に書かれていることと、自分がやってきたことの重なりを、短く並べる欄だと考えてください。職務経歴書全体の構成は職務経歴書の書き方で解説しています。
| 欄 | 書くもの | 向いている先 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経歴全体の要約(3〜5行) | これまでの自分 |
| 職務経歴 | 会社ごとの期間と業務の事実 | これまでの自分 |
| 活かせる経験・知識・スキル | 応募先で使えるものの一覧 | これからの応募先 |
| 自己PR | 強みと、その根拠(1つを掘り下げる) | これからの応募先 |
ここを持ち物の一覧にしてしまうと、読む側が自分で選び直すことになります。選ぶ作業は、こちらでやってください。
書く前に、募集要項から求めているものを拾います
先に拾わないと、選べません。募集要項の「仕事内容」「必須」「歓迎」の3か所から、求められているものを書き出してください。
| 拾う場所 | 拾うもの |
|---|---|
| 仕事内容 | 日々の業務として何をするか |
| 必須の条件 | これがないと応募できないもの |
| 歓迎の条件 | あると有利になるもの |
拾ったものと、自分の経験を並べて、重なるものだけを残してください。重ならないものは、今回は書きません。応募先が変われば、残すものも変わります。
材料は3種類あります
欄の名前のとおり、書けるものは3つに分かれます。どれか1種類に偏らないほうが、幅が伝わります。
| 種類 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 経験 | やってきた業務そのもの | 法人向けの新規開拓、受発注の処理、シフトの作成 |
| 知識 | 業界・商材・制度についての理解 | 建設業の商流、社会保険の手続き、食品の衛生管理 |
| スキル | 道具として使えるもの | Excel(VLOOKUP・ピボットテーブル)、簿記2級、英語での電話対応 |
経験は、やっていた範囲まで書きます
「営業経験5年」では、何をしていたか分かりません。担当していた相手、扱っていたもの、任されていた範囲まで書いてください。「法人向けIT機器の新規開拓(年間120社へのアプローチ)」のように、対象と量が入ると読み取れます。
知識は、どこで身につけたかが分かるように書きます
資格の名前だけでは、実務で使えるかが分かりません。「〇〇の実務経験を通じて」と添えると、知識の出どころが分かります。勉強して覚えただけのものは、そう書いてください。実務と学習を混ぜないでください。
スキルは、使える機能まで書きます
「PCスキルあり」「Excelが使えます」では程度が分かりません。何ができるかまで書いてください。
| よくある書き方 | 直した書き方 |
|---|---|
| Excelが使えます | Excel(関数:SUM・IF・VLOOKUP/ピボットテーブルでの集計) |
| Wordが使えます | Word(社内文書の作成、差し込み印刷) |
| PowerPointが使えます | PowerPoint(提案資料の作成・月2〜3本) |
| 英語が少しできます | 英語(TOEIC Listening & Reading Test XXX点/メールでの定型やり取り) |
並べる順番は、応募先の優先順です
自分の得意な順ではありません。募集要項で先に書かれているものから並べてください。読む側は上から読むので、いちばん知りたいものが1行目にあると、そのまま先に進みます。
項目数は3〜6項目が目安です。多すぎると、どれが強みか分からなくなります。10個並べるより、5個に絞って中身を書くほうが伝わります。
箇条書きで、1行に1項目
文章で書く欄ではありません。1行につき1項目の箇条書きにしてください。職務要約が文章、この欄が箇条書き。役割が分かれていると、読む側が切り替えられます。
■ 活かせる経験・知識・スキル ・法人向けIT機器の新規開拓(年間120社へのアプローチ/受注率18%) ・既存顧客のフォローと契約更新(担当40社/更新率95%) ・後輩3名の指導とロールプレイングの実施 ・Excel(VLOOKUP・ピボットテーブルでの実績集計) ・日本商工会議所簿記検定試験3級 合格(2024年6月)
1行の長さ
1行は40〜60字程度に収めてください。2行に折り返すと、箇条書きの見た目が崩れます。書ききれない内容は、職務経歴の本文に回します。
数字を入れられるものは入れます
数字があると、規模が伝わります。件数、社数、人数、期間、金額。書ける範囲で入れてください。
| 入れられる数字 | 例 |
|---|---|
| 担当した数 | 担当40社、1日60件、月間300件 |
| 人数 | 後輩3名の指導、アルバイト15名のシフト作成 |
| 期間 | 5年、通算9年 |
| 規模 | 売場面積約100坪、定員90名の施設 |
外に出せない数字は、幅で示せば足ります。「年商数億円規模の取引先」のように書けば、守秘に触れずに規模が伝わります。公開されていない数字を、あえて具体的に書く必要はありません。
応募先ごとに並べ替えます
職務経歴書を1社ごとに全部書き直す必要はありません。作り直すのは、職務要約とこの欄の並び順だけです。職務経歴の本文は共通で使えます。
| 応募先 | 1行目に置くもの |
|---|---|
| 新規開拓が中心の営業 | 新規開拓の経験と件数 |
| 既存顧客の深耕が中心の営業 | 契約更新と担当社数 |
| 事務・管理 | Excelでの集計、受発注の処理 |
| 店長・マネージャー | 人数の管理、シフト作成、教育 |
並べ替えるだけで、読まれ方が変わります。1社あたり10分程度で調整できる形にしておくと、応募数を増やしても負担になりません。
自己PRと重ねないでください
同じ内容を2か所に書くと、書類全体が薄く見えます。この欄で一覧を示し、自己PRでその中の1つを掘り下げる。そう分けると役割がはっきりします。自己PRの組み立て方は自己PRの書き方で解説しています。
たとえば、この欄に「後輩3名の指導」と書いたなら、自己PRではその指導で何をしたかを書きます。一覧に並べたものの中から、応募先にいちばん効くものを1つ選んでください。
未経験の職種に応募するとき
同じ職種の経験がなくても、この欄は書けます。やってきた作業を動作に分けて、応募先の仕事と重なるものを探してください。
■ 活かせる経験・知識・スキル ・レジ締めと日次売上の照合(3年間、毎日) ・在庫の棚卸しと差異の原因確認(月1回、担当者として) ・新人アルバイトへの手順説明と、手順書の作成 ・Excel(SUM・IFでの売上集計、日報の作成) ・日本商工会議所簿記検定試験3級 合格(2025年2月)
職種名では重なりませんが、作業の単位で見れば重なるものがあります。それを書き出すのが、この欄の使い方です。やっていない作業を書かないでください。職種を変えるときの経験の言い換え方は未経験の職種に応募する履歴書の書き方で解説しています。
置き場所
職務要約のすぐ下、職務経歴の前に置く形が読みやすくなります。要約で全体をつかみ、この欄で使えるものを見て、そのあと本文で裏付けを取るという順番になります。職務要約の書き方は職務要約の書き方で解説しています。
見出しは「活かせる経験・知識・スキル」で構いません。罫線や網かけで区切ると、本文との境目がはっきりします。職務経歴が2枚になる場合も、この欄は1枚目に置いてください。
職種別の書き分け例
同じ形で書いても、応募先の職種によって選ぶ材料が変わります。1行目に何を置くかだけで、読まれ方が変わります。
営業から営業へ
・法人向け通信サービスの新規開拓(月20社訪問/年間受注35件) ・既存顧客の契約更新(担当60社/更新率92%) ・見積作成から契約手続きまでの一連の対応 ・Excel(実績集計、案件一覧の管理)
販売から事務へ
・日次売上の照合とレジ締め(3年間・毎日担当) ・在庫の棚卸しと差異の原因確認(月1回) ・発注データの入力と納品書の照合 ・Excel(SUM・IF・VLOOKUPでの集計、日報の作成) ・日本商工会議所簿記検定試験3級 合格(2025年2月)
現場職から管理へ
・作業員10名前後の工程管理と日々の割り振り ・資材の発注と在庫の管理 ・安全確認の実施と、作業前ミーティングの進行 ・フォークリフト運転技能講習修了、玉掛け技能講習修了
どの例も、やってきた作業を並べているだけです。盛っていないのに具体的に見えるのは、対象と量が入っているからです。
書けるものが思い浮かばないとき
手が止まるのは、材料が足りないのではなく、探し方が抽象的だからです。次の5つの問いに答えると、材料が出ます。
| 問い | 出てくるもの |
|---|---|
| 毎日していた作業は何か | 基礎になる経験 |
| 月に1回、年に1回していた作業は何か | 棚卸し、締め、繁忙期の対応 |
| 人に教えたことはあるか | 指導、手順書の作成 |
| 使っていた道具・ソフト・機械は何か | スキルの材料 |
| 任されていて、他の人がやらなかったことは何か | いちばん強い材料 |
最後の問いが効きます。自分だけが任されていたことは、そのまま応募先に持ち込める強みです。数字が付けられるなら、付けてください。
複数の会社を経験しているとき
会社ごとに分けて書かないでください。この欄は経歴の一覧ではないので、会社をまたいで同じ経験はまとめます。
「経理として3社、通算9年」のように通算で書けると、回数ではなく積み上げが伝わります。会社ごとの違いは、職務経歴の本文で書けば足ります。この欄は、応募先に持ち込めるものの一覧に徹してください。
Rirekisyで作る場合
Rirekisyの職務経歴書には「活かせる経験・知識・スキル」の入力欄があります。1行につき1項目を入れる形で、「+項目を追加」で行を増やせます。帳票では「■ 活かせる経験・知識・スキル」の見出しの下に、箇条書きで並びます。
入力の順番が、そのまま帳票の並び順になります。応募先が先に求めているものを上に入れてください。応募先を変えるときは、この欄の順番と職務要約を入れ替えるだけで済みます。
様式は編年式と逆編年式から選べます。職務要約と自己PRには「AIで作成」があり、経歴・スキルの入力があると使えます。出てくるのは体裁の整った下書きなので、中身は必ず自分の経験に置き換えてください。氏名・ふりがな・提出日は履歴書と共有されます。出力はPDFです。
よくある質問
Q. 項目は多いほうが有利ですか
いいえ。3〜6項目に絞ってください。多いほど、強みが分かりにくくなります。
Q. 資格はこの欄に書きますか、履歴書に書きますか
両方に書いて構いません。履歴書は一覧、この欄は応募先に効くものだけを選んで書きます。
Q. 「Excel上級」と書いてはいけませんか
基準が人によって違うので、使える機能で書いてください。そのほうが正確に伝わります。
Q. 応募先ごとに書き直すのが大変です
並び順を入れ替えるだけで足ります。項目そのものを毎回作り直す必要はありません。
Q. 経験が1社だけです。書けることが少ないです
1社でも、やってきた作業を分ければ数は出ます。職種名ではなく動作で書き出してください。
Q. 前職の数字を出せません
幅で示すか、担当した範囲で書いてください。公開されていない数字は無理に書かなくて構いません。
Q. この欄がない様式を使っています
職務要約の下に自分で見出しを作って構いません。欄がなくても、書く価値のある部分です。
Q. 自己PRと同じことを書いてしまいました
この欄を一覧にして、自己PRではその中の1つを掘り下げてください。役割を分けます。
Q. 履歴書だけの応募でも、この欄は必要ですか
履歴書に欄はありません。自己PRの欄で、応募先に効くものに絞って書いてください。
Q. 勉強中のスキルを書いてよいですか
書けます。ただし「学習中」と分かる形にしてください。できることと混ぜないでください。