履歴書の志望動機の書き方 書けない原因は文章力ではない

公開日:2026年9月7日

志望動機を書いた履歴書と、電球・的・チェックマークのイラスト

志望動機は、履歴書のなかで唯一「応募先ごとに書き直す欄」です。裏を返せば、ここだけが他の応募者と差がつく場所でもあります。うまい表現を探す前に、組み立ての型と材料の集め方を押さえてください。書けない原因のほとんどは文章力ではなく、材料が足りていないことにあります。

採用担当者がこの欄で見ていること

志望動機で読まれているのは、熱意の強さではありません。次の3点です。

  1. うちの会社を調べたうえで書いているか。どの会社にも出せる文章かどうかは、読めば分かります。
  2. この人の経験が、うちの仕事とつながるか。やりたい気持ちではなく、できることとの接点です。
  3. 入社後の姿が具体的に見えるか。長く働いてもらえるかの判断材料になります。

「成長したい」「学びたい」だけで終わる志望動機が評価されにくいのは、この3つのどれにも答えていないからです。会社は学校ではないので、何を与えてもらえるかではなく、何をする人なのかが読まれます。

3つの型で組み立てます

志望動機は、次の順に並べると必ず形になります。

順番書くこと目安
①結論なぜこの会社に応募したのか。1文で言い切る1〜2行
②根拠自分の経験・スキルのどこが応募先と結びつくか4〜6行
③入社後何をして貢献したいか2〜3行

読み手は上から読みます。結論を最後に置くと、途中で何の話か分からなくなります。最初に言い切ってください。

組み立てた例(未経験からの応募)

前職の販売職で身につけた、相手の要望を引き出す力を、貴社の法人営業で活かしたいと考え応募いたしました。

家電量販店で3年間、接客と売り場づくりを担当しました。来店されたお客様に一律の商品説明をするのではなく、使う場面と予算を先に伺ってから提案する形に変えたところ、担当売り場の客単価が前年より約1割上がりました。要望を聞き出してから提案するという進め方は、法人向けの営業でも同じだと考えています。

未経験の分野ですので、まずは商品知識と業界の理解を早く身につけ、既存のお客様への訪問から着実に実績を積んでいきたいと考えております。

組み立てた例(経験のある職種への転職)

中小企業向けの業務システム導入を一貫して担当できる点に惹かれ、応募いたしました。

現職では、社内の基幹システムの運用保守を4年間担当しております。ただ運用するだけでなく、利用部門から要望を聞き取って改修の仕様に落とし込む工程まで関わってまいりました。貴社は要件定義から導入後の支援までを同じ担当者が受け持つ体制と伺っており、これまで部分的にしか関われなかった上流の工程に、責任を持って取り組めると考えております。

まずは既存のお客様の運用を引き継ぎ、現場で使われ方を把握したうえで、導入提案にも携わっていきたいと考えております。

文字数の目安

厚生労働省の様式例では「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」がひとまとめの欄になっています。250字から350字が読みやすい分量の目安です。同じ欄に自己PRを入れる場合の考え方は自己PRの書き方で解説しています。

  • 短すぎる(100字以下)と、調べていない印象になります。
  • 長すぎて欄からあふれると、文字を小さくすることになり読みにくくなります。
  • 欄の8割程度が埋まっている状態が、見た目としても収まりがよくなります。

データで作る場合は、入力欄にいくらでも打ててしまうので分量の感覚が狂います。書き終えたら必ずPDFにして、実際の見え方を確認してください。

「思いつかない」ときは、材料が足りていません

志望動機が書けない原因は、文章力ではなくほぼ材料不足です。次の3つを埋めれば、組み立ては自動的に決まります。

材料1:応募先について、求人票以外から拾う

  • 採用ページの「求める人物像」「仕事内容」の記述
  • 会社概要の事業内容、主な取引先、拠点
  • サービスや商品のページ(誰に何を売っているのか)
  • 社長メッセージ、社員インタビュー
  • ニュースリリース(直近1年で何に力を入れているか)

この中から、他社と違う点を1つ見つけてください。「地域密着」「創業〇年」だけでは足りません。「導入から運用支援まで同じ担当者が受け持つ」「取引先の8割が製造業」のように、業務の進め方や顧客層の具体まで降ります。

材料2:自分の経験を、動作で書き出す

職務内容を役職や部署名ではなく、実際にしていた動作で書き出します。

× 営業部で法人営業を担当
○ 既存顧客20社を毎月訪問し、要望を聞いて提案書を作り、見積もりを出していた

動作で書くと、応募先の仕事と重なる部分が見つけやすくなります。未経験の職種でも、動作の単位では重なるものが必ずあります。

材料3:数字を1つ探す

実績は数字があると具体性が出ます。売上でなくても構いません。

  • 担当した件数・社数・人数
  • 前年比、達成率
  • 短縮した時間、削減した工数
  • 続けた年数

数字が思い当たらない場合、「毎日〇件」「月に〇人」のように、日常の量を数えるだけでも具体になります。

書き出しの3パターン

最初の1文が決まらずに手が止まることがあります。次の3つのどれかに当てはめれば書き出せます。

①経験を軸にする(経験のある職種へ応募)

前職で培った〇〇の経験を、貴社の〇〇で活かしたいと考え応募いたしました。

もっとも使いやすい形です。経験と応募先の仕事が直接つながっている場合に選びます。

②応募先の特徴を軸にする(他社との違いに惹かれた)

〇〇まで一貫して自社で手がけている点に魅力を感じ、応募いたしました。

使うには、応募先を調べていることが前提です。「〇〇」に入るのが抽象的な言葉になるなら、この型は選ばないでください。調べていないことが逆に伝わります。

③転換の理由を軸にする(未経験の職種へ応募)

〇〇の仕事を通じて〇〇に関わりたいと考えるようになり、貴社に応募いたしました。

未経験の分野に移る場合、なぜ移るのかを最初に説明したほうが、読み手が納得しやすくなります。そのあとに、前職の経験のうち活かせる部分を書きます。

職種別に、何を書けば刺さるか

職種重く見られること書くとよい経験
営業目標に向けて動けるか、断られても続くか数字の達成状況、訪問件数、顧客との関係づくり
事務正確さ、段取り、人と摩擦なく進められるか処理件数、ミスを減らした工夫、複数部署との調整
接客・販売お客様への向き合い方、繁忙時の対応客単価やリピート、クレーム対応、後輩指導
技術・製造手順を守れるか、品質への意識担当した工程、不良率の改善、保有資格
IT・開発使える技術、チームでの進め方担当した工程、使用言語・環境、規模
医療・介護続けられるか、利用者への姿勢担当人数、勤務形態、資格、チームでの連携

同じ経歴でも、応募先の職種によって前に出す部分が変わります。志望動機を書き直すというのは、文章を全部作り直すことではなく、どの経験を前に出すかを入れ替えることだと考えてください。

使い回しは伝わります

複数社に応募していると、志望動機を1つ作って企業名だけ差し替えたくなります。これは読む側にはほぼ確実に分かります。理由は単純で、どの会社にも当てはまる言葉だけで構成されるからです。

使い回しに出やすい表現なぜ伝わるか
成長できる環境に魅力を感じほぼすべての会社が言えること
風通しの良い社風に惹かれ採用ページの常套句。調べた形跡にならない
社会に貢献したいと考え応募先を選んだ理由になっていない
業界トップクラスの実績に2位以下の会社に出せない/出すと矛盾する

ただし、履歴書のすべてを書き直す必要はありません。基本情報・学歴・職歴・免許資格は変わらないので使い回して構いません。書き直すのは志望の動機と本人希望記入欄の2か所だけです。ここを分けて考えると、応募数を増やしても負担は増えません。もう1か所の書き方は本人希望記入欄の書き方で解説しています。

やらないほうがよい書き方

待遇や条件を理由にする

「給与水準が高いため」「福利厚生が充実しているため」「自宅から近いため」は、事実であっても志望動機の欄には書きません。応募先を選んだ理由が、その会社でなくてもよいことになるためです。

学ばせてほしいと書く

「未経験ですが一から学ばせていただきたい」だけで終えると、受け身に読まれます。学ぶ姿勢を示すのは構いませんが、そのうえで何ができるかを必ず添えてください。

例文をそのまま写す

ウェブで見つけた例文をそのまま使うと、同じ文章を読んだことのある担当者に気づかれます。例文は構成の参考として使い、中身は自分の経験に置き換えてください。

「御社」と書く

書き言葉では「貴社」、話し言葉で「御社」です。履歴書は書き言葉なので「貴社」を使います。病院なら「貴院」、学校法人なら「貴校」、銀行なら「貴行」です。

欄を空欄にする

志望動機欄を空欄で提出するのは避けてください。「特になし」も同じです。どうしても書けない場合でも、応募先の事業内容と自分の経験の接点を1つ挙げるだけで形になります。

書けたあとの確認

確認すること見方
会社名を別の会社に差し替えても成立しないか成立するなら書き直し
最初の1文で応募理由が言えているか結論が後ろにないか
自分の経験が具体的に入っているか動作か数字が1つ以上あるか
入社後の話で終わっているか「学びたい」で終わっていないか
面接で同じことを話せるか書いたことは必ず掘り下げられる
誤字脱字がないか「貴社」が「貴車」になっていないか

最後の項目は見落としがちですが重要です。履歴書に書いたことは面接で必ず聞かれます。盛った内容を書くと、そこで答えられなくなります。

白紙から抜け出せないときは

材料は揃っているのに、文章の形にする段階で止まってしまうこともあります。Rirekisyの志望動機の入力欄には「AIで作成」のボタンがあり、入力した内容をもとに文章の下書きを作れます。

ただし、これは白紙から抜け出すための道具です。出てきた文章をそのまま出すのではなく、自分の経験の具体と、応募先を調べて分かったことを必ず自分の言葉で足してください。応募先ごとに違いが出る部分は、本人にしか書けません。

よくある質問

Q. 志望動機と自己PRはどう書き分けますか

志望動機は「なぜこの会社か」、自己PRは「自分は何ができるか」です。厚生労働省の様式例では欄がひとまとめなので、志望動機を中心に書き、余白があればアピールを添える形で構いません。両方を書く場合は、内容が矛盾しないようにしてください。

Q. 応募先が募集の背景を公開していません

分かる範囲で構いません。サービス内容と自分の経験の接点だけでも志望動機は成立します。分からないことは、面接の逆質問で聞けば熱意も伝わります。

Q. アルバイトの応募でも志望動機は必要ですか

必要です。ただし転職ほど作り込む必要はありません。「なぜこの店・この仕事か」と「働ける時間帯や続けられる見込み」が伝われば十分です。

Q. 転職理由も書くべきですか

履歴書の志望動機欄には書かなくて構いません。前職の不満を書くと、次も同じ理由で辞めると読まれます。聞かれたときのために、やりたいことを軸にした説明を用意しておいてください。

Q. 同じ会社に再応募します。前と同じ志望動機でよいですか

書き直してください。前回から自分に何が増えたのかが書かれていないと、再応募する理由が伝わりません。

Q. 志望動機を書いたら、欄からあふれました

削る順番は決まっています。まず入社後の抱負を短くし、次に根拠のエピソードを1つに絞ります。結論(最初の1文)は削りません。ここを削ると何の話か分からなくなります。

Q. 複数の会社に同時に応募しています。毎回1から書くのは大変です

1から書く必要はありません。②の根拠の部分は、自分の経験なので使い回せます。書き換えるのは①の結論(なぜこの会社か)と、③の入社後の部分です。この2か所だけなら、1社あたり10分程度で書き換えられます。

Q. 未経験の業界に応募します。書けることがありません

業界が違っても、仕事の動作の単位では重なるものがあります。人と交渉した、数字を管理した、手順を作った、後輩に教えた、期限を守った。応募先の仕事を動作に分解して、自分の経験と重なるものを探してください。それが根拠になります。

Q. 志望動機は面接で話す内容と同じでよいですか

同じで構いません。むしろ違うと、どちらが本当か分からなくなります。書類は要約、面接はその詳細という関係にしてください。書いたことを掘り下げて話せるように準備しておきます。

Q. 志望動機に前職の会社名を出してもよいですか

出して構いません。どこで何をしていたかは職歴欄にも書いてあります。ただし、前職を持ち上げすぎたり、逆に批判したりする書き方は避けてください。経験の説明として淡々と触れる形にします。

Q. 応募先の商品やサービスが好きだという理由は使えますか

それだけで終えなければ使えます。「好きです」で止まると、お客様としての視点にしかなりません。好きだと感じた理由を、働く側の視点に置き換えてください。「なぜその商品が支持されているのかを考え、自分もその作り手側に回りたいと思った」のような形です。

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