公開日:2026年9月4日

履歴書を書き始める前に、多くの人が最初につまずくのが「手書きとパソコン、どちらで作るのか」です。結論から言えば、募集要項に指定がなければどちらでも構いません。ただし「どちらでもよい」は「どちらを選んでも同じ」という意味ではありません。この記事では、判断の順番と、それぞれを選んだときに気をつけることを整理します。
結論:募集要項の指定がすべてです
手書きとパソコンのどちらが有利か、という議論はよく見かけますが、応募する立場で最初に確認するのはそこではありません。募集要項に書式の指定があるかどうかです。指定があれば、その時点で議論は終わります。指定に反した書類は、内容を読んでもらう前に扱いを外されることがあります。
指定は、求人票の「応募方法」「提出書類」の欄か、企業の採用ページの応募要項に書かれています。書き方には次のような幅があります。
「手書き」と明記されている場合
「履歴書(手書き)」「自筆の履歴書」と書かれていれば、手書きで作ります。ここで「今どき手書きを求めるのは古い」と考えて自分の判断でパソコンに変えると、指示を読まない人という評価が先に立ちます。書式の好みと、指示に従えるかどうかは別の話として見られます。
なお「自筆」は、履歴書全体を手で書くという意味です。パソコンで作った履歴書に名前だけを手書きで足す形は、これに当たりません。
「パソコン可」「様式自由」と書かれている場合
この書き方をしている企業は、書式そのものを評価の対象にしていません。読みやすさと内容で選んでください。「様式自由」は「何を書いてもよい」ではなく「用紙や作り方を問わない」という意味なので、記載すべき項目が抜けていれば当然マイナスになります。
何も書かれていない場合
指定がないときは、手書きとパソコンのどちらで提出しても不利になりません。ただし後述するとおり、応募の状況によって作りやすさが変わります。迷ったときは、次の4つの質問で決めてください。
指定がないときに、どちらを選ぶかを決める4つの質問
質問1:応募先は書類をどうやって受け取りますか
応募フォームやメールで受け取る企業に対して手書きを選ぶと、書いた紙をスキャンするか撮影して画像にする工程が増えます。スマートフォンで撮った履歴書は、影が入る、傾く、文字がにじむといった形で読みにくくなりがちです。提出がデータなら、最初からデータで作るほうが素直です。
逆に、面接に持参する、あるいは郵送するのであれば、どちらで作っても最終的に紙になります。この場合は手書きの不利がありません。
質問2:職歴や資格は何件ありますか
履歴書の学歴・職歴欄は行数が決まっています。手書きは、書き始めてから「あと2行足りない」と気づいても戻れません。職歴が4社を超える、資格が5つ以上あるといった場合は、行数の配分を先に決められるパソコンのほうが破綻しにくくなります。
反対に、新卒やアルバイトの応募で学歴と資格が数行に収まるなら、手書きでも配分に困りません。
質問3:同じ時期に何社へ応募しますか
履歴書は応募先ごとに作るものです。志望の動機は当然、企業ごとに変わります。1社だけなら手書きの負担は知れていますが、5社、10社と並行するなら、書き直しの手間がそのまま応募のペースを落とします。
ここで「同じものをコピーして使い回せばよい」と考えるのは避けてください。使い回した履歴書は、志望の動機を読めばだいたい分かります。詳しくは後述します。
質問4:締切まで何日ありますか
手書きの履歴書は、集中して書いても1枚あたり40分から1時間はかかります。書き損じてやり直せば、その分だけ増えます。締切が翌日なら、時間の読める作り方を選ぶほうが安全です。
4つの質問をまとめると
| 状況 | 向いている作り方 | 理由 |
|---|---|---|
| 募集要項に「手書き」の指定がある | 手書き | 指定に従うことが最優先 |
| メール・応募フォームで提出する | パソコン | スキャンや撮影の工程が要らない |
| 職歴が多い/資格が多い | パソコン | 行数の配分をやり直せる |
| 複数社へ並行して応募する | パソコン | 共通部分を残して志望動機だけ書き換えられる |
| 応募が1社で、持参または郵送する | どちらでも可 | 最終的に紙になるため差が出ない |
| 締切が近い | パソコン | 作業時間が読める |
手書きを選ぶときに知っておくこと
手書きが実際に効く場面
手書きが有利に働くのは、応募先が手書きを求めている場合と、応募者の数が少なく1枚1枚が丁寧に読まれる場合です。地域の小規模な事業所、個人経営の店舗、伝統的な業種などがこれに当たります。
一方、応募が数百件規模になる企業では、書類はデータ化されて処理されます。手書きであることが読み手に伝わる前に、スキャンされて画面上で読まれると考えてください。
間違えたら書き直します
手書きの履歴書で最も多いつまずきが、書き損じの処理です。修正テープ、修正液、二重線と訂正印のいずれも、履歴書では使いません。履歴書は公的な届出書類ではありませんが、応募先に提出する正式な書類として扱われるため、訂正のあとが残っている時点で「書き直す時間をかけなかった人」と読まれます。書き損じたときの対処は書き間違えたときの直し方で解説しています。
そのため、手書きで作るときは用紙を最低3枚用意するのが現実的です。1枚目で書き損じることは珍しくありません。
筆記具と書き方
- 黒のボールペンを使います。0.5mmから0.7mmが読みやすい太さです。
- 消せるボールペンは使いません。摩擦や高温で文字が消えるため、郵送中や保管中に読めなくなる可能性があります。
- 鉛筆で下書きをしてから清書し、インクが乾いてから消しゴムをかけます。
- 枠に対して文字が小さすぎると余白が目立ちます。枠の高さの7割程度を目安にしてください。
パソコンを選ぶときに知っておくこと
パソコンが実際に効く場面
データで提出する応募、記載量の多い転職、複数社への並行応募です。特に転職では、職歴の書き方を何度か直しながら仕上げることになるため、書き直しが利く作り方の効果が大きくなります。
また、履歴書と職務経歴書を両方求められる場合、氏名や連絡先といった共通項目を2枚のあいだで揃える必要があります。データで作れば、この揃え漏れが起きにくくなります。
パソコンで作っても、使い回しは伝わります
作りやすさの裏返しとして起きるのが、志望の動機の使い回しです。企業名だけを差し替えた志望動機は、読む側にはほぼ確実に分かります。どの会社にも当てはまる言葉(「成長できる環境」「風通しの良い社風」など)だけで構成されているためです。
基本情報・学歴・職歴・免許資格は、応募先が変わっても変わりません。この部分は使い回して構いません。応募先ごとに書き直すのは、志望の動機と本人希望記入欄の2か所です。ここを分けて考えると、パソコンで作る利点だけを取れます。パソコンで作るときのつまずきやすい点はパソコンでの履歴書の作り方で解説しています。
署名と押印について
現在ひろく使われている厚生労働省の履歴書様式例には、押印欄がありません。したがって、指定がなければ印鑑は不要です。応募先が独自の様式を指定していて、そこに押印欄がある場合だけ押します。
氏名の手書き署名も、指定がなければ必要ありません。「氏名だけは手書きで」という慣習を聞くことがありますが、これは応募先の指定として書かれていない限り、しなくても減点にはなりません。
どちらを選んでも減点になるところ
手書きかパソコンかを悩む時間より、次の4点を確認するほうが結果に効きます。
空欄をそのまま出す
記入する内容がない欄でも、空白のままにはしません。本人希望記入欄なら「貴社規定に従います」、免許・資格が何もなければ「特になし」と書きます。空欄は「書き忘れ」か「書けなかった」のどちらかに読まれます。
西暦と和暦が混ざる
生年月日を西暦、学歴を和暦、といった混在は避けます。1枚のなかでどちらかに統一してください。職務経歴書も併せて出す場合は、2枚のあいだでも揃えます。
学校名・会社名・資格名の略称
「〇〇高校」ではなく「〇〇高等学校」、「(株)」ではなく「株式会社」、「英検2級」ではなく「実用英語技能検定2級」と、正式名称で書きます。運転免許も「普通自動車第一種運転免許」が正式名称です。
証明写真
写真は、手書きかパソコンかにかかわらず必要です。縦4cm×横3cmが標準で、3か月以内に撮影したものを使うのが一般的な目安です。私服のスナップを切り抜いたものや、極端に加工したものは避けてください。
用紙サイズは、手書きでもパソコンでも先に決めます
作り方と並んで迷いやすいのが用紙サイズです。ここも、募集要項に指定があればそれに従います。指定がなければ次のように考えます。
A4とB5の関係
市販の履歴書には、開いたときにA3になるもの(畳むとA4)と、B4になるもの(畳むとB5)があります。現在はA4が標準です。企業で扱う書類の多くがA4で統一されているため、他の書類と一緒にファイルへ綴じられます。B5は一回り小さく、混ざると扱いにくくなります。
職務経歴書もA4で作るのが一般的なので、履歴書をA4にしておけば2枚のサイズが揃います。迷ったらA4と覚えておけば足ります。
手書きの場合
市販の履歴書を買うときに、パッケージの表記を見てA4サイズ(A3判二つ折り)と書かれたものを選びます。100円ショップで売られているものにもA4のものとB5のものがあるので、レジに持っていく前に確認してください。
パソコンの場合
印刷の方法は2通りです。A3対応のプリンターが手元になくても困りません。
- A4用紙に2枚で印刷する。家庭用プリンターでもコンビニでも出せます。2枚を重ねてクリアファイルに入れます。
- A3用紙1枚に見開きで印刷し、真ん中で二つ折りにする。市販の履歴書と同じ形になります。コンビニのマルチコピー機でA3が出せます。
どちらでも構いません。印刷するときは、倍率を100%(等倍)にしてください。「用紙に合わせる」の設定が入っていると、全体が縮んで余白が広がります。
手書きで作るときの進め方
手書きを選んだ場合、いきなり本番の用紙に書き始めると、ほぼ確実に書き損じます。次の順で進めると1枚で終わります。
- 材料を集める:学校名と入学・卒業の年月、会社名と入退社の年月、資格の正式名称と取得年月を、別の紙にすべて書き出します。ここで思い出せないものを先に調べておきます。
- 行数を数える:学歴は入学と卒業で2行、職歴も入社と退社で2行を使います。「学歴」「職歴」の見出し行と、最後の「以上」の行も数に入れます。用紙の行数に収まるかをここで確認します。
- 志望の動機を下書きする:欄の大きさに対して何文字入るかを、実際に鉛筆で書いて測ります。頭の中で考えた文章は、たいてい欄に入りません。
- 鉛筆で薄く下書きする:全体のバランスを見ます。
- ボールペンで清書する:上から丁寧になぞります。
- 完全に乾いてから消しゴムをかける:乾く前にこすると、インクが伸びて汚れます。
この手順の1と2は、パソコンで作る場合とまったく同じです。つまり材料集めと行数の計算は、どちらを選んでも避けて通れません。ここを先に済ませておけば、途中で作り方を変えることもできます。
迷っているなら、先に一度作ってしまうという手もあります
手書きとパソコンのどちらにするかを決めきれない原因の多くは、「そもそも何を書くのか」が固まっていないことにあります。学歴の年月、職歴の並び、資格の正式名称といった材料が揃っていない段階では、どちらの作り方も進みません。
Rirekisyでは、基本情報・学歴・職歴・免許資格・志望動機・希望条件の6つのステップに沿って入力すると、厚生労働省の様式例に沿った履歴書のPDFができます。入力した内容はブラウザに残るので、途中で閉じても続きから再開できます。ここで一度データとして材料を揃えてしまえば、最終的に手書きで清書することにしても、書き写すだけになります。
証明写真も、スマートフォンで撮った写真を取り込んで、そのままAIで加工できます。スーツ着用・薄い水色背景・明るさ補正を施した証明写真になります(顔は変えません)。写真だけを先に撮りに行く必要がないので、まず内容から固めたいときに向いています。
よくある質問
Q. 手書きのほうが熱意は伝わりますか
手書きであること自体が評価される場面は限られます。伝わるのは、内容が応募先に合わせて書かれているかどうかです。手書きで使い回しの志望動機を書くより、パソコンで応募先ごとに書き分けるほうが評価されます。
Q. アルバイトの応募でもパソコンで作ってよいですか
問題ありません。募集要項に手書きの指定がなければ、パソコンで作った履歴書を印刷して持参できます。ただし、店頭で用紙を渡されて「その場で記入してください」と言われる場合があるため、記載内容は手元に控えておくと安心です。
Q. 途中まで手書きで書いて失敗しました。上から直せませんか
直さずに新しい用紙で書き直してください。修正のあとが残った履歴書は、内容以前の印象で不利になります。何度も書き損じるようであれば、データで作って印刷する方法に切り替えるほうが早く終わります。
Q. パソコンで作った履歴書に印鑑は必要ですか
厚生労働省の様式例には押印欄がないため、不要です。応募先が押印欄のある独自様式を指定している場合のみ押します。
Q. 手書きの履歴書をスキャンしてメールで送ってもよいですか
応募先が手書きを指定していて、かつ提出がデータの場合は、スキャンして送ることになります。スマートフォンでの撮影ではなく、スキャナか書類スキャン用のアプリを使い、傾きと影のない状態でPDFにしてください。画像形式ではなくPDFにするのが原則です。