公開日:2026年9月8日

退職理由は、書類と面接でまったく扱いが違います。履歴書の職歴欄では一行で終わるのが普通で、長く書くほど不利になります。一方、面接では必ず聞かれます。この記事では、書類に何を書くかと、聞かれたときに何を用意しておくかを分けて整理します。
履歴書の職歴欄は、一行で終わります
職歴欄に退職理由を詳しく書く必要はありません。標準的な書き方は次の2種類だけです。
| 区分 | 職歴欄の書き方 |
|---|---|
| 自分の意思で辞めた | 一身上の都合により退職 |
| 会社の都合で辞めた | 会社都合により退職 |
この一行以上を書き足すと、聞かれてもいない事情を先に説明していることになり、かえって目を引きます。書類は事実の申告、説明は面接という分担にしてください。
「退社」と「退職」はどちらでもかまいません
どちらも使われています。ただし、1枚の履歴書の中で混ぜないでください。「退社」で始めたなら最後まで退社、「退職」なら退職で統一します。
在職中の場合は「現在に至る」
まだ辞めていない場合、最後の行に「現在に至る」と書き、その次の行に右寄せで「以上」と書きます。退職予定日が決まっていれば「令和8年10月31日 退職予定」と添えても構いません。
自己都合と会社都合を、正しく分けます
ここを取り違えると、雇用保険の手続きや前職への確認で食い違いが出ます。実際の離職区分に合わせて書いてください。
| 事情 | 一般的な区分 | 職歴欄の書き方 |
|---|---|---|
| 転職・独立・家庭の事情 | 自己都合 | 一身上の都合により退職 |
| 倒産・事業所の閉鎖 | 会社都合 | 会社都合により退職 |
| 人員整理・希望退職への応募 | 会社都合 | 会社都合により退職 |
| 契約期間の満了 | 契約満了 | 契約期間満了により退職 |
| 派遣の契約終了 | 契約満了 | 派遣契約期間満了により退職 |
会社都合を隠す必要はありません
倒産や人員整理は、本人の働きぶりとは別の話です。隠して自己都合と書くと、離職票の内容と食い違います。会社都合と書いたほうが、事情の説明が短く済みます。
希望退職に応じた場合
会社が募集した希望退職に応じた場合は、一般に会社都合として扱われます。自分から手を挙げたことを気にして自己都合と書く必要はありません。
職歴欄に書いてはいけない書き方
- 前職の批判。「上司のパワーハラスメントにより退職」のような書き方は、事情が事実であっても、書類の段階では読み手が確かめようがありません。
- 長い経緯。数行にわたる説明は、職歴欄の行数を圧迫し、他の職歴が読めなくなります。
- 退職理由の省略。「退職」とだけ書くと、自己都合か会社都合か分かりません。
- 事実と違う区分。会社都合を自己都合と書くと、あとで確認されたときに説明が増えます。
面接では必ず聞かれます
書類が一行で済む代わりに、面接では退職理由を聞かれると考えてください。ここで用意しておくのは、言い訳ではなく「同じことが応募先では起きない」という説明です。
採用側が確かめたいこと
- 辞めた原因が、うちでも起きるかどうか
- 不満を、行動で解決しようとしたかどうか
- 次に何を求めているのかが、はっきりしているかどうか
この3つに答えていれば、理由そのものが後ろ向きでも問題になりません。逆に、どれだけ前向きな言葉で飾っても、この3つに答えていなければ疑問が残ります。
組み立ての順番
| 順番 | 話すこと |
|---|---|
| ①事実 | 何が起きて辞めることにしたか(短く) |
| ②行動 | 辞める前に、自分で何を試したか |
| ③方向 | 次にやりたいこと(応募先とつながる形で) |
①は長くしません。時間の大半を③に使うと、退職理由の話が志望動機につながります。
事情別の整理のしかた
人間関係が原因だった場合
特定の個人を責める言い方は避け、仕事の進め方の問題として説明します。「意見が合わなかった」ではなく「相談の場がなく、判断が属人的になっていた」のように、環境の話に置き換えます。そのうえで、応募先で何を求めるかを添えてください。
前職では業務の判断が担当者ごとに分かれており、確認の場が定期的にありませんでした。手順を共有する提案もしましたが、部署をまたぐ調整までは進みませんでした。次は、チームで手順を共有しながら進める職場で働きたいと考えております。
残業や休日が理由だった場合
「残業が多かったから」で止めると、条件だけで会社を選ぶ人に見えます。働き方を変えたい理由まで一段掘って説明してください。資格の勉強を続けたい、家族の事情がある、体調を整えたい、といった事情は正当な理由です。
給与が理由だった場合
正直に伝えて構いませんが、金額だけを理由にすると、より高い提示があれば辞める人と読まれます。成果に対する評価の仕組みに触れると、話の質が変わります。
体調が理由だった場合
回復していること、就業に支障がないことを先に伝えます。詳しい病名まで説明する義務はありません。配慮してほしいことがある場合は、業務に必要な範囲だけを具体的に伝えてください。
契約満了だった場合
本人の評価とは無関係です。「契約期間の満了により終了しました」と事実を述べ、更新の希望があったかどうかを添えれば十分です。
解雇された場合
隠さないでください。前職への在籍確認や離職票で分かります。事実を短く述べ、そこから何を変えたかを話します。説明の重心は、その後どう改善したかに置きます。
短い期間で辞めている場合
期間が短くても、職歴には書きます
数か月で辞めた会社でも、雇用保険や社会保険に加入していれば記録が残ります。書かずにおくと、経歴の申告漏れになります。
説明は「見込み違い」を具体的にします
「思っていた仕事と違った」で止めず、どこがどう違ったかを一段具体的にします。そのうえで、次は同じ見込み違いを起こさないために何を確認したかを話すと、応募先にとって安心材料になります。
入社前は既存のお客様への提案が中心と聞いていましたが、実際は新規開拓が業務の大半でした。求人票と面接で業務の割合まで確認しなかった私の準備不足でした。今回は、1日の仕事の流れを具体的に伺ったうえで応募しております。
書く前に、手元の書類で事実を確認します
記憶だけで書くと、日付と区分がずれます。次の書類が手元にあれば、先に確認してください。
| 書類 | 確認できること |
|---|---|
| 離職票(雇用保険被保険者離職票) | 離職年月日と離職区分(自己都合か会社都合か) |
| 退職証明書 | 在籍期間、役職、退職の事由 |
| 源泉徴収票 | 在籍していた年と会社の正式名称 |
| 雇用契約書・労働条件通知書 | 契約期間の有無、期間満了日 |
特に注意したいのが会社の正式名称です。「株式会社」が前に付くか後ろに付くかは会社によって違い、履歴書では省略も付け替えもできません。書類が手元にない場合は、会社の登記情報や公式サイトの表記で確認します。
退職日は「最終出社日」ではありません
有給休暇を消化してから退職する場合、最終出社日と退職日が1か月ほど離れることがあります。履歴書に書くのは退職日です。離職票や退職証明書の日付に合わせてください。
言い換えは、事実の範囲で行います
退職理由を前向きな言葉に置き換えること自体は、失礼でも不誠実でもありません。問題になるのは、事実と違う話に作り替えたときだけです。
| そのまま言うと角が立つ | 事実の範囲での言い換え |
|---|---|
| 給料が安かった | 成果が評価に反映される仕組みのある環境で働きたい |
| 残業が多すぎた | 時間の管理をしながら長く続けられる働き方をしたい |
| 上司と合わなかった | 判断の基準を共有しながら進められる職場で働きたい |
| 仕事が単調だった | 担当する工程を広げ、前後の流れまで理解して働きたい |
やってはいけない言い換え
「キャリアアップのため」「新しい環境で挑戦したい」だけで終える説明です。中身がないため、面接では必ず「具体的には」と掘り下げられます。言い換えたあとに、その理由を裏づける事実を1つ添えてください。添えられないなら、その言い換えは使わないほうが安全です。
嘘をつくと、入社後に困るのは自分です
本当は働き方を変えたかったのに「業務の幅を広げたい」とだけ伝えて入社すると、同じ働き方の職場に入り直すことになります。退職理由を正直に整理することは、次の職場選びの基準を自分で確かめる作業でもあります。
職務経歴書での扱い
職務経歴書には、退職理由を書く欄が決まっているわけではありません。基本は書かなくて構いません。ただし、転職回数が多い場合や、短期の在籍が続いている場合は、会社ごとに一行だけ添えると経歴が読みやすくなります。転職回数が多い場合の見せ方は転職回数が多い場合の履歴書で解説しています。
株式会社○○(2023年4月〜2024年3月)※事業所閉鎖に伴い退職
この一行があるだけで、読み手は「本人の事情ではない」と分かります。反対に、自己都合の退職まで毎回説明を添えると、書類全体が言い訳のように見えます。
退職理由と志望動機はつながっています
この2つは別々に用意すると矛盾します。退職理由で「なくなったもの」と、志望動機で「求めるもの」を一致させてください。
| 退職理由(なくなったもの) | 志望動機(求めるもの) |
|---|---|
| 手順を共有する仕組みがなかった | チームで進め方を共有している職場 |
| 担当領域が固定され、幅が広がらなかった | 複数の工程に関われる体制 |
| 評価の基準が示されなかった | 成果の基準が明示されている制度 |
この対応が取れていれば、退職理由を正直に話しても不利になりません。逆にここがずれていると、応募先を選んだ理由が説明できなくなります。
Rirekisyで書くときの流れ
Rirekisyの職歴の入力は、入社と退社をそれぞれの行として入力する形になっています。退職の行に「一身上の都合により退職」と入れれば、そのまま帳票に反映されます。在職中の場合は「現在に至る」を入れ、最後に「以上」が右寄せで入ります。
入力した内容はブラウザに残るので、途中で閉じても続きから再開できます。応募先ごとに志望動機だけを書き換えたい場合も、職歴の入力をやり直す必要はありません。
よくある質問
Q. 退職理由を書く欄がない履歴書です。どこに書きますか
職歴欄の退職の行に書きます。「令和7年3月 株式会社○○ 一身上の都合により退職」のように、退職の行に続けて書く形です。専用の欄は不要です。
Q. すべての会社に退職理由を書くのですか
職歴欄では、退職した会社すべてに書きます。書くのは一行なので、行数が増えることはありません。
Q. 定年退職の場合はどう書きますか
「定年退職」と書きます。自己都合でも会社都合でもありません。
Q. 派遣で複数の就業先を経験しました
雇用されているのは派遣元なので、派遣元を会社名として書き、就業先は業務内容として添えます。終了は「派遣契約期間満了により退職」と書きます。
Q. 試用期間中に辞めた会社は書きますか
書きます。在籍していた事実は変わりません。期間が短い理由は、面接で聞かれたときに説明できるよう準備しておいてください。
Q. 現在は無職です。職歴欄はどうなりますか
最後の退職の行で終わり、その次の行に右寄せで「以上」と書きます。空白期間そのものを職歴欄で説明する必要はありません。
Q. 会社都合と書くと、書類選考で不利になりませんか
不利にはなりません。倒産や人員整理は応募者の責任ではなく、採用側もそれを分かっています。むしろ自己都合と書いて食い違うほうが問題になります。
Q. 前職の在籍確認で、退職理由まで伝わりますか
在籍していた期間の確認が中心です。ただし、離職票や雇用保険の手続きでは離職区分が分かります。書類と実際の区分は合わせておいてください。
Q. 退職理由を面接で聞かれなかったのですが、こちらから話すべきですか
こちらから切り出す必要はありません。聞かれたときに答えられるよう準備しておけば十分です。
Q. 退職理由を「一身上の都合」と書きましたが、面接で本当の理由を聞かれました
書類の「一身上の都合」は定型表現で、詳しい事情を隠すためのものではありません。面接では、実際の事情を整理して伝えてください。書類と食い違うことにはなりません。
Q. 転職先が決まっていないまま辞めました。不利になりますか
それ自体が不利になることはありません。聞かれるのは、退職からの期間に何をしていたかです。求職活動、資格の勉強、家庭の事情など、事実を短く伝えられれば十分です。
Q. 職歴欄に書ききれないほど会社数があります
行数が足りない場合でも、退職理由の一行は省略しないでください。削るのは業務内容の説明のほうです。それでも入らない場合は、職務経歴書で補います。
Q. 前の職場を円満に辞められませんでした。応募先に伝わりますか
通常、前職での経緯が応募先に直接伝わることはありません。在籍確認は在籍期間の確認が中心です。ただし、同じ業界の狭い範囲では話が伝わることもあるため、事実と違う説明は避けてください。
Q. 家族の介護で辞めました。今後また同じことが起きると思われませんか
現在の状況を先に伝えてください。すでに体制が整っていること、就業に支障がないことが分かれば、懸念は残りません。伏せておくと、あとで働き方の相談がしにくくなります。